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【独自アンケート】高額療養費制度の自己負担額、どう思う?|約73.3%は制度改定に「反対」

【独自アンケート】高額療養費制度の自己負担額、どう思う?|約73.3%は制度改定に「反対」

2025年8月から2027年8月にかけて、高額療養費制度のひと月あたりの負担上限額が段階的に引き上げられる予定です。
※2025年2月段階の情報

高額療養費制度の改定は病気になった際の家計管理に直結するため、多くの人に影響を及ぼすでしょう。

そこでグッドカミングは、2025年2月に高額療養費制度に関する意識調査を実施しました。

制度自体の認知度や、世間の受け止め方はどのような状況なのでしょうか?

◆調査概要
概要:高額療養費制度に関するアンケート
有効回答数:300人
調査対象:日本在住の男女
調査実施日:2025/2/12~2025/2/14
調査方法:インターネットによる任意調査
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グッドカミング編集部
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回答者のメイン層は低・中所得者

まずは回答者の属性として、現状の高額療養費制度の区分と同じ5段階の年収に分けて集計しました。

● 年収156万円以下(住民税非課税)
● 年収156万円~370万円
● 年収370万円~770万円
● 年収770万円~1,160万円
● 年収1,160万円以上

最も回答が多かったのは、「年収370万円~770万円」116人(38.7%)でした。

この層は日本の平均年収に近く、今回の高額療養費制度の改定により、相対的に負担が増える可能性が高いグループです。

次に多かったのは、「年収156万円~370万円」92人(30.7%)、続いて「年収156万円以下」54人(18.0%)となり、低・中所得層の回答が大半を占めていることがわかります。

一方で、「年収1,160万円以上」の高所得層はわずか3人(1.0%)にとどまりました。

自己負担の上限額(2025年8月~)

年収帯 ひと月の負担額目安 従来の負担から見た上昇幅
約156万円以下 (住民税非課税) 3万6300円 900円
約156万円~370万円 6万600円 3000円
約370万円~770万円 8万8200円 8000円以上
約770万円~1160万円 18万8400円 2万円以上
約1160万円以上 29万400円 約4万円

2026年8月からは、年収の区分が13区分に細分化され、2026年・2027年の2段階で負担上限額が引き上げられる予定です。

年収約510万円~650万円の層を例に挙げると自己負担額は約11万3,400円となり、最も高い区分である年収約1,650万円以上の層では、約44万4,300円まで引き上げられます。

高額療養費制度の見直しについて|厚生労働省

上限額の引き上げについて、過半数が詳細を把握していない

高額療養費制度の自己負担上昇を(このアンケートを見る前から)知っていたかどうかについても質問しました。

300名の回答者に「2025年8月からの高額療養費制度の負担上限額の引き上げ」について質問したところ、「知っている」と回答したのは125人(41.7%)でした。

次いで「聞いたことはあるが詳細は知らない」121人(40.3%)「知らなかった」54人(18.0%)という結果に。

全体の58.3%が「詳細を知らない」と回答しており、制度改定の周知が十分に行き届いていない現状が分かります。

制度改定への認知度に関する回答者の声

● 制度の変更内容について、わかりやすく説明してくれる機会があればいいなと思いました。
● このアンケートで負担増だと知り、貯蓄の見直しのきっかけになったので感謝します。
● 知らない間に負担が増えていくのは怖いので、これを機に制度の内容や負担額など自分で調べてみようと思いました。

約73.3%が高額療養費制度の改定に反対

「高額療養費制度の自己負担額引き上げについてどう思いますか?」という質問に対し、「断固として反対」および 「やや反対」の回答が合計220人(73.3%)にのぼりました。

一方で、「やむを得ないと思う」と理解を示した人は64人(21.3%)「賛成」と明確に支持した人はわずか11人(3.7%)でした。

約7割以上の人が「反対」と回答しており、その背景には家計負担の増加に対する強い懸念があると考えられます。

自己負担額引き上げで起こりうる影響(複数回答)

内容 回答数
医療費の負担が増え、生活に影響が出る 230
必要な医療を受けられなくなる 170
病院での受診や健康診断がおっくうになる 85
貯蓄や家計の管理をより意識する 71
健康管理をより徹底する 70
医療保険の見直しや新規加入を検討する 27
特に影響はない 8

自己負担額の引き上げによる影響について尋ねたところ、全体の約77.7%が「医療費の負担が増え、生活に影響が出る」と回答しました。

「特に影響はない」と答えた人はわずか約2.6%にとどまり、多くの人が節約診察控えを意識せざるを得ない状況だと言えます。

改正賛成派の声

● 財源に限りがあり、高齢者の医療費が増加していることを考えれば負担増もやむを得ない。
● 自分は健康や長生きに興味がなく病院も薬も医者も頼ってないから負担増加は気にしない
● 医療は、命に直接関係のあることなのでしっかりとお金を貯めて対応したいと思います。

改正反対派の声

● 負担が増えるという情報を改めて見てどんよりした気持ちになりました。生活していけない。
● 自身が病気、怪我などで就労不可能な状態になった際のセーフティネットが機能しなくなる不安に駆られた。
● 継続的にがんの治療などを行っている人にとっては非常に負担を強いられるものであり、見直しが必要だと考えます。
● これが始まりになる(負担が当初の予定を超えて増える)のでは、という不安があります。

関心がない層の声

● あまり使用する機会がないので、今のところ気にならないと感じている。
● 自己負担が大きくなると言われると抵抗があるが、大きな病気やケガを患って制度を利用した事がないのであまり実感を持てない。

高額療養費制度の仕組みを「きちんと理解している」層は8%にとどまる

「高額療養費制度について、どの程度理解していますか?」と質問したところ、「仕組みや計算方法、申請方法などを理解している」と回答したのは、わずか24人(約8.0%)でした。

最も多かったのは、「ある程度のルールは知っている」で、167人(約55.7%)が回答。

「ほとんど知らない」と答えた人は、109人(約36.3%)にのぼりました。

制度の詳細を理解している人は1割未満と、具体的な計算方法や申請方法まで把握している人はかなり少ないようです。

※高額療養費制度とは?
医療費の負担が重くなりすぎないよう、窓口で支払う医療費が月の1日~末日で上限額を超えた分の金額が支給される制度。上限額は年齢や所得に応じて定められる。

高額療養費制度を62.3%は「利用したことがない」

「高額療養費制度をこれまでに利用したことがありますか?」という質問に対し、最も多かったのは「ない」で、187人(62.3%)が回答しました。

「過去に1~2回利用したことがある」人は98人(32.7%)、「何度もある」と回答した人は15人(5.0%)でした。

高額療養費制度は、医療費が高額になった際の負担を軽減する重要な仕組みですが、頻繁に利用する人は少数派。

しかし難病や長期治療を必要とする人にとっては欠かせない制度であり、一定数の利用者が存在します。

利用の有無は個人の健康状態や治療内容によって左右されるため、制度の認知度や理解度を高めるのが課題となるでしょう。

民間保険の見直し・検討をする層は2割

「高額療養費制度の改定によって、医療保険(民間)への意識は変わりましたか?」と質問したところ、「特に変わっていない」と回答した人が最も多く、154人(51.3%)でした。

「保険の見直しを検討」しているのは 42人(14.0%)「これを機に新たに加入を考える」18人(6.0%)

「加入予定はないが、医療費への備えを厚くしたい」という回答も 86人(28.7%)にのぼり、約4割の人は何らかの形で医療費への備えを意識しているのが分かりました。

今回の改定による自己負担限度額の引き上げを受けて、一部の人々が将来の医療費リスクを考慮した医療保険の見直しや加入を検討し始めています。

まとめ

  • 負担上限額の引き上げを約58.3%は「知らない」「聞いたことはあるが詳細を知らない」
  • 約77.3%が高額療養費の負担増に反対
  • 制度の仕組みを十分に理解している人は8.0%のみ

制度の改定により家計の負担が増すと感じている人が多いにもかかわらず、情報が十分に行き渡っていない現状が浮き彫りになっています。

今後、政府や医療機関、保険業界などが積極的に情報を発信し、多くの人が正確な情報を得られるような取り組みが求められるでしょう。

アントプロダクション株式会社は、引き続き保険に関する情報提供を行い、皆さまの安心をサポートしてまいります。

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