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妊娠中に加入できる医療保険はある?妊娠・出産時に利用できる公的制度とは
妊娠中でも医療保険に入れる?
妊娠・出産時に保険は適用される?
妊娠中や出産時には様々な病気や手術のリスクがありますが、妊娠が判明してから医療保険に入れるの?と悩む人も少なくありません。
今回は、妊娠中でも医療保険に加入できるのか、妊娠中・出産時に関する入院や手術と利用できる公的制度などを詳しく解説していきます。
この記事の監修者
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有岡 直希
ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、Webマーケターを経て外資系生命保険会社に転職。 個人対象のライフプラン・コンサルティングに携わり、顧客のニーズと社会保障制度を加味した論理的な提案に定評あり。 各生命保険商品を徹底的に分析し、価値ある保険商品の選別と保険の効果を高める活用法を提案します。- <保有資格>
- AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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妊娠中でも医療保険に加入できる?
医療保険とは、病気やケガをして入院・手術になった際に給付金が受け取れる保険です。
妊娠中や出産時には様々な病気や手術になるリスクが高くなりますが、一般的には妊娠が判明してから加入できる保険はあまり多くはありません。
加入できたとしてもその時点で判明している妊娠・出産に関しての医療費は保障対象外となる商品が多いです。
妊娠判明後も加入可能で保障が受けられる医療保険には、妊娠週数の定めや給付金が支払われない(不担保)条件などが設定されているケースもあるため事前に保障内容を確認をしておきましょう。
● 帝王切開
● 早産・流産
● 妊娠中毒症
● 重度のつわり(妊娠悪阻)
※保険商品や加入時の健康状態によって不担保条件は違います。
妊娠判明前に医療保険に加入していれば妊娠中や出産時のリスクに備えられるので、妊娠の予定がある人は早めに加入しておくのがおすすめです。
妊娠中・出産時に関する入院や手術
妊娠中や出産時には様々な病気のリスクが上がりますが、入院や手術が必要になる例を見ていきましょう。
重度のつわり(妊娠悪阻)
妊娠中にはつわりが起こる人も多いですが、つわりの症状が悪化し脱水症状や栄養障害などをまねく状態になると、入院が必要になるケースもあります。
重度のつわりによる入院費は、一部または全額が健康保険の対象です。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に高血圧の症状が出る状態。
妊娠高血圧症候群が重症化すると母体へのリスクだけでなく、子宮や胎盤での血液に流れが悪くなり赤ちゃんが酸素不足や栄養不足になるため入院が必要になります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠後に高血糖になり様々なな合併症を引き起こす症状です。
母体だけでなく赤ちゃんも高血糖になるため、両方に重大な異常が起こるリスクがあり、治療や入院の必要が出てきます。
妊娠糖尿病にかかる医療費は健康保険の対象です。
切迫早産
切迫早産とは、正規産前(37週未満)に出産する可能性がある状態を指します。
早産にならないように安静を保ちながらお腹の張りを抑える必要があるため、状態によっては入院が必要になるケースも少なくありません。
切迫早産のためにかかる医療費は健康保険の対象となります。
妊娠うつ・産後うつ
産前産後に発症するうつ症状を妊娠うつ・産後うつといい、病院で治療が必要になる場合も。
妊娠中や出産後には女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、ストレスに対して脳の抵抗力が低下しやすいため、産後うつになる女性は10人に1人といわれています。
うつ病は健康保険の対象となるので、気分の落ち込みや睡眠障害などがあれば早めに相談・受診しましょう。
帝王切開等の異常分娩
帝王切開は、自然分娩では出産が困難または危険な場合に、腹部と子宮を切開して外科手術で赤ちゃんを取り出す分娩方法です。
正常分娩の予定でも母体と赤ちゃんの状態によっては緊急帝王切開になるケースも少なくありません。
帝王切開の手術費や入院費は健康保険の対象となり、民間の医療保険でも保障対象となっている商品が多いです。
流産
流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終わってしまう状態を指します。
流産になる可能性のある状態(切迫流産)や、亡くなった赤ちゃんや胎盤などが完全に体外に排出されないなどの状態になると治療や手術が必要な場合も。
流産に伴う治療や手術の費用は健康保険の対象となります。
妊娠中・出産時に利用できる公的制度
妊娠中から出産まで目立った問題がなく順調に出産を終えた「正常分娩」では、基本的には公的医療保険(健康保険)は適用対象外となり全額自己負担となっています。
妊娠・出産には多くの費用がかかりますが、負担を軽減できる公的制度があるのでチェックしておきましょう。
出産育児一時金
出産後には加入している公的医療保険から、子ども1人につき50万円の出産育児一時金が支給されます。
妊娠週数が22週未満での出産や産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合の支給額は48.8万円です。
出産育児一時金は2種類の受給方法があるので、受診する医療機関が取り入れている制度を事前に確認しておきましょう。
制度 | 受給方法 |
---|---|
公的医療保険が医療機関に出産育児一時金を直接支払う方法 ※出産費用との差額は請求または医療機関へ支払う必要があります |
|
医療機関等が被保険者に代わり出産育児一時金を受け取る方法 ※出産予定日までの2ヵ月以内に申請が必要 |
妊娠週数が満12週以上での死産や流産でも対象になりますが、出産翌日から2年以上経過すると申請不可になってしまうので要注意です。
高額医療費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初め~終わり)で上限額を超えると超過金額を支給する制度。(※)
異常分娩(帝王切開など)で医療費が高額になった際には高額医療費制度の給付を受けられます。
高額医療費制度の上限額(自己負担限度額)は年齢や年収によって変わるので確認しておきましょう。
適用区分 | ひと月の上限額 | |
---|---|---|
年収約1,160万円~ 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:所得901万円超 |
252,600円+(医療費-842,000円)×1% | |
年収約770万円~約1,160万円 健保:標準報酬月額53万円~79万円 国保:所得600万~901万円 |
167,400円+(医療費-558,000円)×1% | |
年収約370万円~約770万円 健保:標準報酬月額28万円~50万円 国保:所得210万~600万円 |
80,100円+(医療費-267,000円)×1% | |
年収156万円~約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:所得210万円以下 |
57,600円 | |
住民税非課税世帯 | 35,400円 |
出産手当金
出産手当金とは、出産のために会社を休んだ際に健康保険から支給される手当で、支給金額は支給開始日以前12ヶ月の標準報酬日額の3分の2相当額となります。
出産日(出産予定日より遅れた場合は出産予定日)以前の42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日の翌日以後56日までの範囲内で会社を休み給与の受け取りがない人が対象です。
国民健康保険には出産手当金の制度がないため、自営業や個人事業主などの人は対象外となります。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んで給与が支払われない時に健康保険から支給される手当です。
連続する3日を休んだ後の4日目から支給され、支給額は標準報酬日額の3分の2相当額。
妊娠中に切迫流産や重いつわりなどで会社を休んだ場合も適用対象となります。
医療費控除
医療費控除は、1年間の医療費が世帯合計で10万円(※)を超えると受けられる所得控除制度です。
※総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%
医療費控除を受けるには、会社での年末調整とは別に確定申告が必要になります。
また、年間医療費は出産にかかった費用から出産育児一時金・高額医療費・医療保険の給付金などと、10万円または所得の5%を差し引いた金額が控除対象となるので注意が必要です。
● 出産育児一時金=50万円
● 高額療養費=10万円
● 医療保険金=5万円
計算:90万円-(50+10+5万円)-10万円=15万円
上記の例では15万円が控除対象額となる。
医療費控除は過去5年分までさかのぼって申告できるので、出産当時に控除制度を知らなかった人でも医療費の領収書があれば申告可能です。
国民年金保険料の免除
出産予定日または出産した月の前月から4ヶ月間は、国民年金保険料の免除が受けられます。
また、多胎妊娠では出産予定日または出産した月の3ヵ月前から6ヶ月間が免除対象期間です。
自営業など国民年金の第1号被保険者は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口へ届出を提出しましょう。
育児休業給付金
育児休業給付金は通称「育休手当」といわれ、雇用保険の被保険者が1歳未満(最長2歳まで)の子どもの育児を理由として休業する場合に雇用保険から給付金を受け取れる制度です。
基本的な受給期間は子どもが1歳になるまでですが、保育所の利用申込みを行っているのに1歳6ヵ月まで入所ができない時は最長2歳になるまで延長できます。
● 育休開始前の2年間で賃金支払日数が月に11日以上・12ヶ月以上ある
● 育休終了後に退職予定がない
● 育休中の給与が通常時の8割以下である
育児休業給付金の給付額は、育休開始から6ヵ月は『休業開始時賃金日額×支給日数×67%』となり、6ヵ月経過以降は50%で計算します。
また、育児休業給付金の受給は母親だけでなく父親もでき、「パパ・ママ育休プラス」制度を利用すれば子どもが1歳2ヵ月になるまで育休が取得でき育児休業給付金も受給できます。(※)
※参考:厚生労働省/パパ・ママ育休プラス
妊娠中に加入おすすめの保険
妊娠中に加入できる医療保険もありますが、その時点での妊娠・出産への医療費は保障対象外となる商品が多いため、医療保険は妊娠前に加入しておくのがおすすめと言えます。
しかし、妊娠中や出産時には負担を軽減できる公的制度も多いため、医療保険が必ずしも必要とは言い切れません。
ここからは妊娠中に加入しておくと今後に備えられる保険をご紹介していきましょう。
生命保険
生命保険は、被保険者の病気・ケガ・死亡時に保障が受けられる保険です。
子どもが生まれると家族が増えるため、万一の際に残される家族が生活に困らないよう保障を準備しておくのがおすすめ。
加入条件がある商品もあるため妊娠中の全ての方が加入できるわけではないため、事前に確認しておきましょう。
学資保険
学資保険とは、子どもの学費を計画的に貯蓄するための保険です。
高校や大学入学時には学費の負担が大きいため、子どもが小さい頃から積み立てておくと、子どもの入学や進学に合わせて教育資金・満期保険金が受け取れます。
出産予定日の140日前から加入できる学資保険もあるため、忙しくなる出産後よりも妊娠中に加入を検討してみましょう。
妊娠中に加入できる医療保険:まとめ
妊娠中に加入できる医療保険は多くはありませんが、妊娠週数や健康状態によっては加入できる商品もあるので、条件や保障内容を確認してから検討しましょう。
妊娠中や出産後には利用できる公的制度も多いので、上手に活用すれば医療保険に加入できなくても妊娠・出産時の負担を軽減できます。
出産後の保障を準備できる生命保険や子どもの将来に備えられる学資保険などもあるため、どんな保険に加入すべきか悩む人は一度保険のプロへ相談してみましょう。