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債務整理のデメリットとは?デメリットの対策と生活への影響を解説

債務整理のデメリットとは?デメリットの対策と生活への影響を解説

債務整理ってどういう仕組み?
債務整理のデメリットは?

債務整理は大きく分けて3種類あり、手続きによるデメリットの違いが気になる方も少なくありません。

本記事では債務整理の基本とデメリット、生活にどのような影響が出るか詳しく解説します。

この記事の監修者

  • 中澤克彦様
    中澤 克彦

    若井綜合法律事務所 弁護士

    東京弁護士会所属の弁護士。早稲田大学法科大学院修了後、債務整理を扱う法律事務所に所属。任意整理、自己破産、個人再生など債務整理に精通し、現在の法律事務所においても多数の案件を手掛けている。
    <保有資格>
    弁護士
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グッドカミング編集部
グッドカミング編集部
グッドカミングは、保険/資産運用/将来設計/投資など「お金」の悩みを解決するWebメディアです。ファイナンシャルプランナーが記事を監修し、情報の信頼性を担保。様々な経歴のライターが、自身の経験やお金に悩む人の体験談を基に記事を執筆しています。

債務整理とは

債務整理

債務整理とは自分で返済しきれない借金を整理する方法で、大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類。

借金を整理する方法は「免除・減額・長期分割にして毎月の支払額を減らす」など自身の状況に合わせて選びます。

債務整理のデメリット

債務整理で共通するデメリットは3つ。

債務整理のデメリット
ブラックリストに載る▼
保証人に影響が及ぶ▼
弁護士や司法書士に頼むと費用がかかる▼

デメリット①ブラックリストに載る

一番のデメリットはブラックリストへの掲載

ブラックリストに載ると・・・
● ローンが組めない
● クレジットカードが使えない
● 家族や友人の保証人になれない
● 引越し審査に通らない可能性あり

「ローンが組めない」ためスマホの分割払いはできず、「クレジットカードが使えない」ので車のETCカードも使えなくなります。

※ブラックリストは載った「個人のみ」で、家族への影響は基本的にありません。

ブラックリストに載るのは「金融事故を起こし、返済能力に何らかの問題がある」と認定されている状態。

口座から直接引き落とされるデビットカードや現金でチャージできる電子決済は使えるので工夫すればそこまで不便さは感じないでしょう。

滞納を続けていてもいずれはブラックリストに載るので、早めの借金整理がおすすめです。

完済して一定期間が経つとリストから削除されるので、その後はローンを組んだり新たにクレジットカードが作れます。

デメリット②保証人に影響が及ぶ

あなたの借金に連帯保証人がいると、その人が借金を肩代わりしなければなりません。

任意整理は借入先ごとに整理するか選べるので、保証人がついている借金は債務整理の対象から外せます。

保証人に迷惑をかけたくない場合

● A社の借金(保証人なし)
● B社の借金(保証人なし)
● C社の借金(保証人あり
C社の借金を任意整理の対象から外せば保証人には影響がありません

任意整理のデメリットを
チェックしたい方はこちら

デメリット③弁護士や司法書士に頼むと費用がかかる

実は債務整理は自分でもできますが、債権者や裁判所とのやり取り、書類の作成などの膨大な手続きがあるため弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。

1社あたりの返済額が140万円を超えると司法書士では対応できないので、弁護士事務所に依頼しましょう。

債務整理費用の相場
任意整理 2~5万円(1社につき)
個人再生 20~50万円
自己破産 最低30万円以上

※着手金と報酬金のみの大体の相場です。依頼する前に総額の費用を確認しておきましょう。

参考サイト:弁護士事務所ベンチャーサポート法律事務所:債務整理にかかる費用の平均相場はいくら?高いと感じたときの対処法とは

1社あたりの返済額が140万以下で、少しでも費用を抑えたいなら司法書士に依頼するのもアリ
事務所によっては弁護士に依頼するよりも費用が安く済む

債務整理の種類と選び方

債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3種類ありますが、それぞれの特徴とデメリットをもう少し詳しく見ていきます。

無理のない返済を目指すなら
「任意整理」

特徴 デメリット
・今後支払う利息をカット
・返済期間を伸ばし毎月の支払額を減らす
・手続きする債権者を選べる
・借金の元本は減らない
・債権者の合意が必要

任意整理した後は原則3年~5年かけて、借金の元本を返済していきます。

たとえば…

これまでは利息を含めて毎月5万円返済している

毎月3万円なら余裕を持って支払える
(債務整理で2万円分利息カット)

3年で108万円、最長5年で180万円
(元本のみ返済)

たとえば毎月3万円確実に返済できで、返済総額が180万円以下なら任意整理がいいでしょう。

任意整理がおすすめな人
✅ 利息の支払いに追われて元本が減らない
✅ 一定の安定した収入があり、原則3~5年で元本が返せる
✅ 債権者を選んで整理し、保証人に迷惑をかけたくない

まったく返済できないなら
「自己破産」

特徴 デメリット
・借金の支払い義務がなくなる ・家や車などの資産を失う可能性が高い
・官報に掲載される
・連帯保証人、保証人の返済義務はなくならない
・一部の職業に就けない
・手続きの間、郵便物が管理される
・手続きの間、引っ越しや旅行が制限される

自己破産は借金の支払い義務がなくなるため債務整理の中で最もメリットが大きいですが、家や車などの資産を失う可能性も高く、最終手段と言えるでしょう。

官報とブラックリストは別で、官報は住所と氏名が載っています。※一般人はほとんど見ません

官報…国が発行する機関紙
ブラックリスト…信用情報機関に事故情報が登録される

自己破産すると残った借金は連帯保証人・保証人に一括請求されるため、その人たちも自己破産せざるをえなくなるリスクが。

連帯保証人や保証人がいる上で自己破産を検討するなら、正直に今の状況を話しておく必要があります。

迷惑をかけまいと、連帯保証人・保証人がいる借金だけ優先的に返済すると「偏頗弁済(へんぱべんさい)」にあたり、自己破産手続きをする上で禁止されているので注意!
※手続きに影響が出て、個人再生や自己破産できなくなるリスクあり

自己破産の申し立てをすると一部の職業に就けなくなりますが、ほとんどの人は3~6カ月程度で制限が解除されます。

制限される職業(例)

賃金業、警備員、行政書士、建築士、税理士、弁護士など

※参考サイト:そこが知りたい!借金問題:弁護士法人 東京新宿法律事務所:自己破産すると仕事ができなくなる!?職業制限はあるの?

自己破産がおすすめな人
✅ 安定した収入がない
✅ 連帯保証人、保証人がいない
✅ 他の債務整理では解決できない

家を手放さず借金を減らしたいなら「個人再生」

特徴 デメリット
・借金を大幅に減額し、残りを原則3年~5年で返済
・家を手放さずに済む
・官報に掲載される
・連帯保証人、保証人の返済義務はなくならない
・ローンが残っている資産は回収のおそれあり

個人再生はローンが残っている資産があれば回収されるかもしれませんが、住宅ローン特則制度を使ってそのまま住み続けられます。(住宅ローンは個人再生の減額対象にはなりません)

車も、ローンを完済していれば手元に残しておいて問題ありません。

※参考元:法律事務所ホームワン:個人再生と住宅特則

個人再生がおすすめな人
✅ 自己破産だと制限される職種に就いている
✅ 家や車を手放したくない
✅ 減額されれば借金を返せる

債務整理が生活に及ぼす
デメリットと対処法

債務整理によっておこる生活へのデメリットを確認していきます。

クレジットカードが使えなくなる

ブラックリストに載っている間債務整理する本人名義のクレジットカードは使えなくなり、新たなカードの発行もできません。

個人の問題なので同居する家族名義のカードは利用可、家族は新しいカードも発行できます。

注意点として、債務整理した人の本カードで作っていた家族カードは利用できません。

例)

夫名義の本カードで家族カードを作り、妻や子供が利用していた

夫が債務整理をする

家族カードは夫が主契約者のため、利用できない
※家族までブラックリストに載ったわけではない

対処法
✅ 任意整理なら債権者を選べるので、カード会社を対象から外す
✅ 家族名義のクレジットカードは影響なし
✅ 銀行口座に連携したキャッシュレス決済は利用できる

ブラックリストに載るため、更新時に利用できなくなる可能性はあります。

※手続き内容によってブラックリストに掲載される期間は違う(任意整理は5年程度)

ローンが残っている車は引き上げられる

ローン完済まで信販会社の名義である「所有権留保」がついていると、完済していない車は債務整理で引き上げられます。

対処法
✅ 任意整理なら債権者を選べるので、自動車ローンを対象から外す
✅ 個人再生なら手続き前に別除権協定を締結しておく

別除権協定」は、個人再生後もローンを支払う条件で、車を引き上げないでほしいとローン会社と約束すること。

車を使う仕事通勤にどうしても車が必要など条件があり、裁判所の許可も必要です。

参考元:これで解決!債務整理:司法書士法人みつ葉グループ 弁護士法人・響:「債務整理すると車を引き上げられる?手続後に車を残す方法と車ローンを組む方法」

スマホの利用について

端末代を完済しており、毎月の料金も滞納していなければ利用できます。

端末代を分割で支払っている途中で料金を滞納していれば債務整理によって契約解除もあり得るのでご注意ください。

債務整理前にスマホ代だけ先に一括で支払うと一部の債権者に対して優先的に返済する偏頗弁済(へんぱべんさい)とみなされる可能性があります。

滞納している・端末代を分割で払っている方はまず弁護士や司法書士に相談しましょう。

対処法
✅ 端末代は一括で支払う
✅ 口座振替や払込用紙で支払う
✅ 任意整理なら、スマホを対象から外す

債務整理のあとはカードが使えなくなるので、スマホの料金をクレジットカードで払っている方は支払い方法を変更しておきましょう。

※参考元:弁護士による債務整理相談:弁護士法人デイライト法律事務所:偏頗弁済とは?リスクや否認されないための対処法を解説

一定期間住宅ローンが組めない

債務整理のあとは一定期間ローンが組めないため、スマホや車だけでなく住宅ローンも組めません。

基本的に、完済してから5~7年はローンを組めないと思ってください。

対処法
✅ ブラックリストから事故情報が消えるのを待つ

「ブラックリスト掲載中でも借入できる」と謳う消費者金融があっても絶対に利用してはいけません。

債務整理中なら手続き停止、そのあと自己破産しようとしても手続きに影響が出て破産できなくなると考えていいでしょう。

どうしても新たな借り入れが必要になったらまずは依頼中の事務所に相談してください。

債務整理を依頼できる事務所

弁護士事務所

ライズ綜合法律事務所
弁護士
事務所
ライズ綜合法律事務所バナー/債務整理/減額診断
初回
相談料
慰謝料請求・債務整理・B型肝炎給付金請求・交通事故・立ち退き問題・敷金回収に関する相談は無料
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着手金 55,000円~
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※着手金は内容により費用が異なります/減額報酬は減額の11%/和解成立時、解決報酬として1社につき22,000円/過払い返還報酬 22%(任意の場合/訴訟の場合は27.5%)/送金管理費として1社につき月1,000円/回/通信費として1社につき2,200円

司法書士事務所

渋谷法務
総合事務所
司法書士法人リーガルリリーフ
司法書士
事務所
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相談料
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着手金 20,000円~※1 20,000円~※2
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※1…残債務のない債権の調査、過払い請求は着手金を免除/着手金は内容により費用が異なります/減額報酬は減額の10%/過払い返還報酬 20%(任意の場合/訴訟の場合は25%)/送金管理費として1社につき月1,000円/回
※2…着手金は内容により費用が異なります/残債務のない債権において過払い金返還額が30万未満の場合は免除/減額報酬:減額した金額の10%/過払い返還報酬:返還された金額の 20%(任意の場合/訴訟の場合は25%)/送金管理費:1社につき月1,000円/回/通信費:5,000円

債務整理に関するQ&A

Q. 債務整理と任意整理の違いは?

A. 債務整理の手続きのひとつを任意整理といいます。他に自己破産、個人再生があり、任意整理は一番かんたんで時間がかからない方法です。

Q. 生活保護を受けていると、どの債務整理を選べばいいか

A. 任意整理、個人再生はあくまで減額であり、残った借金を返済する必要があります。生活保護費での借金返済は認められていないため、自己破産が有力と言えるでしょう。

Q. 家族に内緒で債務整理できる?

A. 一番バレにくいと言えるのは任意整理でしょう。
整理する債権者を選べる、裁判所を通さないため手続きが少ないのが理由です。
ただ、ブラックリストに掲載されている間は子どもの奨学金の保証人になれないため注意。

債務整理のデメリットまとめ

債務整理に共通するデメリットは3つあります。

債務整理のデメリット
ブラックリストに載る▼
保証人に影響が及ぶ▼
弁護士や司法書士に頼むと費用がかかる▼

債務整理は任意整理、自己破産、個人再生の3種類あり、ご自身の収入や資産状況によって最善策が異なるため、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめ。

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