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認知症による損害賠償リスクに備えるには?保険の種類と備えておくべきケースを解説

「認知症の家族が事故を起こしたら誰が損害賠償する?」
「認知症でのトラブルに備える保険は?」
認知症による事故やトラブルが社会問題になるなか、万が一の損害賠償リスクへの備えを考える方は少なくありません。
この記事では、認知症によるトラブルに備えられる保険や加入を検討すべきケースを解説。
自分自身や、家族が認知症になったときのために備えたい方はぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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有岡 直希
ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、Webマーケターを経て外資系生命保険会社に転職。 個人のライフプラン・コンサルティングに携わり、顧客のニーズと社会保障制度を加味した論理的な提案に定評あり。 各生命保険商品を徹底的に分析し、価値ある商品の選別と保険の効果を高める活用法を提案します。- <保有資格>
- AFP、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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認知症による損害賠償リスクとは

認知症とは、脳の障害などによって記憶・理解・判断・学習・言語などの認知機能が低下し日常生活に支障が出ている状態です。
認知機能が低下すると、
✅家がどこかわからなくなり迷子になる
✅すぐにイライラして暴力をふるう
といったケースもあります。
認知症の人が起こしうる
事故やトラブル
認知症になった方が起こしうるトラブルの例についてみていきましょう。
・停車中の車を叩いて傷つけた
・自動車を運転して事故を起こした
・介護施設でほかの利用者を突き飛ばしてケガをさせた
・線路内に侵入して電車を止めた
・水を出しっぱなしにして下の階に漏水させた
これらの行為によって他人に損害を与えると、損害賠償責任が発生します。
このほか、予測しない事態が起こるかもしれません。思わぬ事故が高額な賠償問題に発展しかねないため、保険での備えも検討してみるといいでしょう。
家族が賠償責任を負う可能性がある
認知症の人がトラブルを起こし本人に責任能力がないと判断されると、監督義務者である家族が責任を問われる可能性があります。
民法第七百十四条で以下のとおり定められているためです。
「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」出典:e-Govポータル|民法第七百十四条(2025年5月14日利用)
認知症の人の家族が監督責任をしっかり果たしていたのにもかかわらずトラブルが起こったと見なされた際は、損害賠償責任が発生しないケースも。
家族に認知症の人がいるのであれば、義務を果たしていなかったと認識されないよう対策しておきましょう。
認知症の損害賠償に備える保険の種類

認知症の損害賠償に対応できる保険はいくつかあり、既に加入済の保険に特約として付帯している場合もあるので、チェックしましょう。
個人賠償責任保険
認知症の人の損害賠償に対応できる保険のひとつに、個人賠償責任保険があります。
過失によって他人にケガをさせたり他人の物を壊したりした場合の損害を補償する保険
個人賠償責任保険は単独ではなく、基本的に自動車保険や火災保険などの特約としてついています。
新たに保険に入るのであれば個人賠償責任保険の内容をしっかり見て、必要であればプラスするのが得策。
契約者だけでなく、家族全員が補償対象となるプランが多くあります。
個人賠償責任保険に加えて、認知症の人が行方不明になった際の捜索活動費用が給付される保険もあるので、チェックしてみましょう。
認知症保険の賠償責任補償
認知症保険には、給付金タイプと損害補償タイプの2種類があります。
給付金対応では所定の認知症の診断が確定すると、保険会社やプラン内容にもよりますが、10~500万円の給付金が受け取れるケースが。
損害補償タイプでは、「他人の家の植え込みを勝手に切ってしまった」「転倒して介護施設の窓ガラスを割ってしまった」などの対応にかかった費用が支給されます。
弁護士の介入が必要となった場合に、弁護士費用や裁判費用を出してくれるプランもあり、対応範囲は保険商品によってさまざま。
最高裁の判決では遺族に監督義務はなかった※とされましたが、多大な損害賠償が発生する可能性も0ではありません。※参照:裁判所|裁判例結果詳細
家族の目の届かないところでなにかあったときのために、保険での備えは安心材料となります。
補償範囲や給付限度額などを確認し、自分に合った保険を選びましょう。
・どういった場合に保証されるのか
・保証されないのはどんなケースか
・今加入している保険でカバーできるか
など、一度保険のプロに相談してみるのもいいでしょう。
認知症の人の損害賠償リスクに備えるべきケース

認知症による損害賠償リスクに備えるべきケースは、以下のとおりです。
・賠償請求による経済的、精神的負担を抑えたい
認知症患者を在宅介護している
認知症患者の在宅介護では、人手に限りがある分、24時間体制でサポートされる施設に比べて事故やトラブルのリスクが高まります。
例えば、家族が寝ている夜間に認知症患者が外に出てしまうケースです。
✅交通事故に巻き込まれる危険
✅近隣住宅に誤って侵入してしまい、住人とのトラブル
も考えられます。
保険に入っておけば、損害賠償事案になった場合にサポートを受けられる安心感を得られるでしょう。
賠償請求による経済的・精神的負担を抑えたい人
認知症に関する保険のなかには、財物損壊を伴わない、電車の運行不能等による賠償責任をカバーする特約をつけたものもあります。
加入していれば、鉄道会社から請求される振替輸送費用などを補償してもらえるので、万が一の事態が起こっても経済的な負担を軽減できるでしょう。
トラブルが起きた際は、加害者と被害者の話し合いによる示談での解決も多くあります。
しかし、自分達だけで被害者と示談交渉をするとなると、多くの時間や労力がかかり、精神的ストレスも大きくなりがち。
示談交渉サービスがついている保険に加入していれば、保険会社が代わりに被害者との交渉を進めてくれるため、精神的な負担を軽減できます。
【まとめ】認知症による損害賠償リスクに保険で備えよう
認知症患者によるトラブルや賠償リスクに備えるには、保険の活用が重要です。
保険には、
● トラブルを起こした際に損害範囲に対して保険金を受け取れるもの
● 線路内に立ち入って電車を止めてしまった場合に対応できるもの
● 示談交渉サービスのついたもの
など、さまざまなタイプがあります。
加入している保険に付帯している場合もあるので、一度チェックしてみましょう。
現在の保険では足りなければ、補償内容や保険料などを考慮して、ニーズに合った保険を選んでください。