• インタビュー

アクサ生命 「保障が手広ければ良い」とは限らない。商品開発者が勧める保険の見方

引受保険会社 : アクサ生命保険株式会社

お客さまにおすすめする保険商品を検討する際、私たちはお客さまの目線で判断します。

保険商品が開発される背景や開発者の考える保険の強みを知ることは、お客さまに合った保険商品を探すきっかけの一つになるのではないでしょうか。

今回はアクサ生命保険株式会社の本社にお伺いし、商品企画部長大江徹(おおえあきら)さんから保険商品を開発する側ならではの着眼点や想いについてお話しいただきました。

お客さまの声は商品開発に大きく影響する

アクサ生命に入社した理由を教えてください。

大江さん

お客さまのニーズに応えられる商品ラインナップに惹かれました。

大学を卒業して以来ずっと生命保険会社に勤めており、前職の会社でも生命保険商品領域を担当していました。

アクサ生命は複数の販売チャネルを有し、死亡保険、医療保険、がん保険のほか変額保険など幅広い商品ラインナップを取り扱っています。

様々なお客さまのニーズにお応えする商品をご提供できる点や、業界に先駆けて新たな商品分野へ取り組む姿勢に魅力を感じ、入社しました。

商品企画部ではどのようなお仕事をされているのですか?

大江さん

私の所属する商品企画部は、商品開発領域のとりまとめ役のような役割を担っています。

生命保険の商品開発も、一般的な商品の開発と同様に市場分析を進めながら「お客さまが直面している課題や不安は何か?」、そして、これは生命保険ならではかもしれませんが「お客さま自身もまだ気づいていないけれども将来起こりうる課題は何なのか?」にも向き合います。

商品デザインの検討には、経済環境や社会保障制度、テクノロジーの変化への対応のほか、競合他社の商品情報の収集も重要です。

その後、様々な関係部門との協議を重ね、金融庁との認可折衝や、システム開発などを経て、アイデアの検討開始から実際の発売には約1年~1年半程度の時間が必要です。

商品開発で、「お客さまの声」を活かした経験はありますか?

大江さん

商品開発に活かすため、お客さまの声は常に収集しています。

​当社では、お客さまの声を経営に活かす「VOCプログラム」(Voice of Customer:お客さまの声)を通してお客さまの声を幅広く収集し、商品開発に活かしています。

また、直接お客さまと相対してくださる代理店の方を対象にした四半期に一度の調査も重要な情報源です。

顕在化していない課題への対応も、長期にわたってお客さまをお守りする生命保険においては重要な取り組みと言えます。

例えば、2016年4月に新たな医療制度として始まった「患者申出療養制度」があります。

この制度は、未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるため、患者さんからの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、できる限り身近な医療機関で受けられるようにする制度です。将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することも目的としています。

制度が発足した当初、その認知度は低く、お客さま側のニーズとしてはまだそれほど顕在化していませんでしたが、制度を利用すると治療費が高額になる可能性があります。

保険会社として一早く対応するため、アクサ生命は同年9月に患者申出療養にかかった治療費を保障する「患者申出療養サポート」を新商品として発売しました。
正式名称:患者申出療養給付保険(無解約払戻金型)

アクサ生命

商品開発目線で見る「良い保険」とは

商品開発の目線で「これはすごい!」と思った経験はありますか?

大江さん

インターネット完結での募集(以下「ネット販売」と表記)で他社が「就業不能保険」の提供を始めた時は驚きました。

昔の話ですが、他社が就業不能保険に注力し始めた時期があり、当時は「ネット販売の領域でこの商品を販売するのか」と驚きました。

新商品を開発するのにかかる時間や開発コスト等を考えると、前例のない商品を導入するにはかなりの勇気が必要です。

最初にその商品を見た時は、「どうやって作っているのか」と疑問に思いましたが、保障内容や保険料ともに魅力的な商品だと感じました。

そこで当社も「アクサのネット完結 働けないときの安心」の提供を開始するに至りました。

就業不能保険って、商品開発の方から見てそんなに良い内容なんですか?

大江さん

条件に該当すれば、毎月給付金が支給されるのがこの商品の強みです。

医療保険では、1入院の保障日数に60日・120日などの限度があり、長期間入院しても症状がある程度固定されたと判断して、保障は切れてしまうのが基本です。

一方で、障害を負った後に同じ働き方を続けるのは基本的に難しいため、収入の減少を貯蓄で補うのは現実的ではありません

公的医療保険制度には、そういう時のために「障害年金」などがありますが、民間保険の領域でさらにお客さまのお役に立てる方法はないか、日々考えています。

就業不能保険は、例えば「障害を負って働けない」ような状態に対して保障を受けられる保険商品で、「アクサのネット完結 働けないときの安心」では、永久認定された障害状態はずっと支払事由に該当するため、就業不能状態に該当し続ける限り、保険期間中は毎月給付金が支給されます。

滅多に起こるリスクではありませんが、起きてしまうととても困ることに対して手厚い保障があるのが「就業不能保険」の強みです。

逆に、他社を反面教師にしている部分はありますか?

大江さん

「分かりやすさ」と「保障範囲」のバランスです。

アクサ生命の保険についても言えることですが、保険の話はどうしても難しい話になります。

難しくなりすぎて、「お客さまに理解されないのではないか?」と心配になるようなケースも出てきてしまいます。

支払事由の説明も難しく、必要に応じてきっちり作るほど内容が複雑になるため、商品開発をしている人は皆悩んでいると思います。

確かに、「分かりやすさ」は重要ですが、分かりやすくする過程で必要以上に保障の範囲が広くなりすぎるのも良くありません。

保障範囲が広がると保険料も高くなりますから、慎重にバランスを取ることが大切です。

保障や保険料払込免除の範囲は、保険料が高くても広い方が良い、とは言えないんですか?

大江さん

良い面もありますが、お客さま自身のニーズに照らし合わせる必要はあると思います。

本当は、保障や保険料払込免除の範囲を狭めるのも悪いことではありません。その分保険料が安くなるからです。

免除の範囲が広がることは、説明のしやすさから考えると良いですが、保険料払込免除が保険の目的ではありません

保険は「払い込んで、何か起こったらプラスになる」というものではなく、大変な時のマイナスの備えとして入るもので、お客さまにとって、本当に必要なのはとにかく広い保障ではなくて、自分に必要な保障がある保険であるべきだと思います。

商品として実現できる保険、できない保険

商品開発で非常に良いと思ったアイデアを却下された経験はありますか?

大江さん

「却下された」という経験はあまりないかもしれません。

却下されるのではなくて、「ここはどうなっているのか?」と質問されることはあります。

想定される問題への対処や商品としてのポテンシャルに関して色々指摘はされますが、ディスカッションを経て元々のアイデアを整えていくイメージです。

最終的には出したアイデアが実現できた経験も多々あるので、そこはすごく恵まれていると思います。

現状では存在しない保険で、関心を向けている分野はありますか?

大江さん

現状で全く存在しないかどうかの確認はしておらず恐縮ですが、自動運転の車に関する補償が気になっています。

保険商品の性質上、集めさせていただいたお金を一部にお支払いするからレバレッジが効きます。

全員に起こるようなリスクには集めた掛け金をそのまま返すだけになってしまうので、保険としては成立しづらいと思います。

今気になっているテーマで言うと、アメリカなどの海外で流行り始めている自動運転の車がありますが、事故を起こした場合、責任を取るのは自動車会社か、はたまた車のオーナーか。そもそもこれは損害賠償の扱いになるのか?

仮に車にぶつかられた場合、どこが補償をするんだろう?という話題への興味関心が高いです。

医療保険の付帯サービスも要チェック

商品開発で大変だったエピソードを教えてください。

大江さん

例えば、医療保険の開発です。

保障内容が多岐にわたるのはもちろん、医療技術や社会保障制度の変更は日々起こっているので対応しなくてはいけません。

競合他社の保障と比較して考えた時、より幅広い保障にお応えしたいですが、保険料水準との兼ね合いもあります。

公的保険の補完に位置する民間保険としての商品開発に、日々頭を悩ませています。

商品開発で嬉しくなるのはどんな時ですか?

大江さん

お客さまや代理店の方から反響をいただいた時です。

ここは皆さん同じかと思うのですが、感謝のお手紙や、役に立ったよというお声を頂くと「やっててよかったな」と実感します。

開発した商品が代理店で扱われていて、そのパンフレットを見かけたりするのも嬉しいです。

代理店の方が当社の商品や考えに共鳴し、推奨商品の一つとして並べていただけているのを拝見すると、大変ありがたいなと思います。

開発者だからこそ語れる保険のお得な使い方を聞きたいです。

大江さん

保険自体だけでなく、付帯サービスにも注目してください。

医療保険に加入する目的は病気になった場合の備えが中心ですが、病気になりたい人はいません。

当社に限らない保険業界全体の話になりますが、今の医療保険は各社も付帯サービスを付けています。

「病気とは言えないけどちょっと気になることがある」時に使える「24時間電話健康相談」など、使えるサービスはしっかり活用してください。

医療保険の給付金を受け取るだけにとどまらず、お客さまの役に立つ機会が増えますので、ぜひ付帯サービスにも着目してほしいです。

アクサ生命

シンプルな保障の保険ほど分かりやすい

今回まだお話に出ていない、「アクサのネット完結がん終身」はどんな保険ですか?

大江さん

お手頃な保険料が特徴の商品です。

商品そのものはシンプルながん保険で、手術や抗がん剤に関する特約(放射線治療に対する保障も含む)も備えています。

手術、放射線治療、抗がん剤のベーシックな治療に対する保障はカバーした上で、お手頃な保険料になるよう開発しました。

商品性が分かりやすく、必要な保障はあって、保険料も良い水準。最終的に判断するのはお客さまですが、自信をもって提供している商品です。

アクサのネット完結保険は、どんな方におすすめですか?

大江さん

「保険は難しい」と思っている方におすすめです。

がんが怖いのは万人共通で、いざという時のリスクに備えてがん保険に入るかと思います。

しかし、約款では難しい話をしている商品も多く、全てを完璧に理解するのは保険商品を作る側のプロである私たちにとっても大変なことです。

だから、商品を作る時にお客さまにとって「分かりやすい商品を作る」を心がけています。

どれを選んだらいいのかよく分からないと思っている方にも、当社のがん保険はかなり分かりやすいと思います。

「マイナーだけど実は良い」商品ってありますか?

大江さん

ネット申込がご希望の方向けには「アクサのネット完結収入保障2」です。

ネット申込では「アクサのネット完結定期保険2」を選ぶ方が多く、「アクサのネット完結収入保障2」は対面の乗合代理店で強い商品です。

「アクサのネット完結収入保障2」は亡くなった働き手のお給料を代わりに保障する、いわゆる「収入保障保険」です。遺族年金保険、などと言い換えた方がイメージしやすいでしょうか。

例えば、お子さんの独立に合わせてだんだん必要な保障額が下がっていく前提で設計されている保険を選べば月々の保険料を抑えながら保障を受けられます。

「収入保障保険」や「就業不能保険」って違いが分かりにくく、一般的には募集人に説明してもらって初めて違いが理解できるような保険かと思います。

ライフプランの試算が必要なのもあって最初は難しく見えるんですが、商品としては良い内容なので検討していただければと思っています。

マイナスをゼロに戻すのが保険の役割

今後商品開発を通じて取り組みたい事柄を教えてください。

大江さん

お客さまが困っている時に手を差し伸べられる商品の開発です。

色々な金融商品がある中で、例えば生命保険は特にマイナスになった状態をゼロ(ニュートラル)に戻すための商品です。

「お客さまが困っている時に手を差し伸べられる」という視点では非常にやりがいがあり、社会的意義を深く感じています。

お客さまが保険に加入を検討する際には、自分と家族の人生のリスクについて考える機会になると思います。

そういう時に生まれる「備え」へのニーズにちゃんと応えられる保険を作りたい気持ちがあります。

実用に耐える、いざというときに役に立つ保険を作っていきたいです。

このインタビューを見ている方に一言あればお願いします。

大江さん

必要な保障を過不足なく受けられる保険を探していただければと思います。

保険に加入するタイミングは自分や家族の人生にあるリスクを見つめ直す機会でもありますから、よく考えるのは良いことです。

一方で、未来のリスクを考えて不安になりすぎてもきりがありません。

もちろん、「何でも入ればいい」とお伝えするつもりもありません。多くの保険に入りすぎるのも金銭的なリスクになります。

「自分に必要な保障がある保険かどうか」。そこだけはよく考えて、商品を選んでもらえたらよいと思っています。

アクサ生命

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