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任意整理は自分でできるか?自分で手続きする3つのデメリットと方法を解説

任意整理は自分でできるか?自分で手続きする3つのデメリットと方法を解説

「債務整理は自分でできるかな?」
「自分で債務整理するリスクや具体的な手続きの流れが知りたい」

債務整理にはいくつかの方法がありますが、自分でできる手続きとして任意整理があります。

任意整理は裁判所を通さずに債権者と返済条件を直接交渉する手続きです。専門家に依頼せずに手続きできるため依頼費を抑えられますが、書類作成や交渉などを自力で行うリスクも。

任意整理を自分で進めるためには、事前に債務整理に関する知識を身につけたうえで、状況に合った手続きを行う必要があるでしょう。

本記事では、任意整理を自分で行うリスクや具体的な手続き方法などについて解説します。

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グッドカミング編集部
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債務整理には4つの種類がある

債務整理には、以下4つの種類があります。

● 任意整理
● 自己破産
● 個人再生
● 特定調停

以下で、それぞれの債務整理の特徴や「自分でできるのか」について見ていきましょう。

任意整理

任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉して返済条件を見直す債務整理の方法です。

将来の利息をカットしたり、返済期間を延長したりして毎月の負担を減らせるメリットがあります。

例えば月々の返済額が高額で生活が苦しくても、任意整理で債権者と合意が取れれば、無理なく支払えるよう条件を変更できるケースも。

ただし、自分で任意整理をすると債務者にとって不利な条件になりやすいです。

裁判所を介さないため手続きが簡単と考えがちですが、書類の作成や債権者と交渉する必要があります。

自己破産

自己破産は裁判所に申し立てを行い、借金の返済義務を全額免除してもらう手続きです。

返済が不可能なときの最終手段として使われますが、一定の財産は処分される必要があります。

例えば、多額の借金を抱え収入が全くなくても、自己破産によって借金から解放されれば生活の再建が可能です。

ただし、信用情報への影響が大きいため慎重な判断が必要です。

手続きにあたり必要な書類の作成や、債権者・裁判所などとのやり取りも多い点から、専門家への依頼が一般的になっています。

個人再生

個人再生は、裁判所の認可を受けて借金を大幅に減額し、その後3年ほどで返済する手続きです。

任意整理では元本の減額は難しいですが、個人再生であれば借金を最大5分の1程度まで減額できます。

例えば600万円の借金があり、任意整理で月々約10万円(5年分割)の返済が必要です。

この点、個人再生で借金が120万円に減額された場合は月々の返済額が3万円(3年分割)で済む可能性があります。

これにより、多額の借金を抱えていても現実的な返済が可能です。

また、自己破産と異なり、生命保険や車などの資産を手放さずに手続きできます。

住宅ローンが残っていても、住宅ローン特則を利用すれば自宅を処分せずに手続きできるのが特徴。

個人再生は自己破産よりも専門知識が必要なため、自分で行うのではなく、専門家へ依頼するのが一般的です。

特定調停

特定調停は、簡易裁判所を通じて債権者と返済条件を調整する手続きです。

弁護士に依頼せずに進めらますが、実際は債権者との交渉が思うように進まないリスクも伴います。元本の減額は行われず、将来利息のカットを目指して話し合いを進めるのが特徴です。

特定調停は費用が少額で済むため、弁護士費用を用意できない方に向いている一方、裁判所に何度も出向く必要があり、手続きの負担は軽くありません。

また、債権者が交渉に応じず、極端に不利な条件を提示されるケースもある点に注意してください。

任意整理は自分でできるのか?

任意整理は自分で手続きできます。

ただし、債権者から取引履歴を取り寄せて計算し、自ら交渉しなければなりません。

そのため、専門知識がない人は望んだ結果が得られない可能性が高いです。

手続き自体は自分でできますが、債権者とのやり取りや交渉力などを考えると、弁護士や司法書士といった専門家へ依頼する方が得策と言えるでしょう。

自分で任意整理を行うための条件

自分で任意整理を進めるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、安定した収入があることが条件です。任意整理では借金の減額は難しく、多くの場合、元本の返済が求められるため、定期的な収入がないと返済計画を立てることができません。

任意整理は誰でも自分で行えるわけではありません。

主に以下の条件に当てはまる方が対象です。

● 一定の収入が継続して得られている
● 通常3〜5年以内に完済できる見通しが立っている
● 毎月の返済額が手取り収入の20〜30%程度に抑えられている
● これまでに借金の返済履歴がある
● 債権者が個人での交渉を受け入れてくれる

一定の収入が継続していれば、正社員でなくてもアルバイトやパートでも任意整理できます。

ただし、2回以上返済が遅れると、残りの借金を一括で支払うよう求められるのが一般的です。収入が不安定な場合は、事前に返済に備えて貯金をしておくとよいでしょう。

個人からの交渉を受け付けない債権者の場合は、自力で任意整理を進められません。

また、取引内容の計算や債権者との交渉を自分で行う必要があるため、法律や交渉の基本的な知識を持っている人が向いているでしょう。

任意整理を自分でするメリット

ここでは、任意整理を自分でするメリットについて見ていきましょう。

● 弁護士・司法書士の依頼費を節約できる
● 自分のペースで進められる
● 任意整理を周囲に知られずに進められる

弁護士・司法書士の依頼費を節約できる

任意整理を自分でするメリットは、弁護士や司法書士などの専門家へ依頼する費用を節約できる点です。

専門家に依頼すると債権者1社あたり数万円の着手金や成功報酬が必要になります。

例えば、3社に対して任意整理を行うと着手金だけで総額で10万円以上の費用になることもあるでしょう。

しかし、自分で手続きを進めればこれらの費用は一切かからず、郵送代や印紙代といった最低限の実費のみで済みます。

金銭的なメリットが得られるのは、自分で任意整理するメリットの1つです。

自分のペースで進められる

自分で任意整理を進めると、スケジュールをコントロールしやすくなります。

専門家に依頼すると、手続きの進行が先方に左右されやすいです。この点、自分で任意整理すれば、好きなタイミングで交渉や書類準備を進めやすくなるでしょう。

債権者とのやり取りはあるものの、専門家を仲介しなくて済むため、自分のペースで任意整理を進めやすいのがポイントです。

任意整理を周囲に知られずに進められる

自分で任意整理すると、周囲の人にバレにくいメリットもあります。

弁護士に依頼した場合、事務所から届く郵送物や電話連絡などで、家族や同居人に知られるリスクがあります。

この点、自分が債権者とやり取りを行えば、プライバシーを保ちやすいでしょう。

ただし、弁護士に依頼する場合でも、事前にプライベートに配慮してほしい旨を伝えておけば対応してもらえるケースも珍しくありません。

信頼できる専門家を見つけられれば、より安心して任意整理を進められるでしょう。

任意整理を自分でするデメリット

任意整理を自分でするデメリットは以下のとおりです。

● 交渉がうまくいかず不利な条件になるケースがある
● 督促や取り立てを止められない可能性がある
● 取引履歴を自分で計算する必要がある

交渉がうまくいかず不利な条件になるケースがある

任意整理を自分ですると、専門家へ依頼するときよりも不利な条件になるケースがあります。

例えば、以下のような要素が債権者有利の条件になるリスクがあるでしょう。

● 債務総額
● 月々の返済額
● 返済回数
● 返済期限

弁護士なら全額カットできていたはずの利息が、自力で任意整理した場合は一部しか減額されない状況も考えられます。

交渉経験や法律知識が不足している場合は、弁護士や司法書士への依頼が無難です。

督促や取り立てを止められない可能性がある

自分で任意整理する際は、債権者からの督促や取り立てを止められないデメリットがあります。

弁護士に依頼すると債権者へ受任通知が送付されるため、法的に取り立てがストップできるのです。

自力での任意整理だと債権者との交渉が成立するまで督促や取り立てが続きます

交渉が長引くほど精神的な負担も大きくなるので、自分で手続きを行うかは冷静に判断しましょう。

取引履歴を自分で計算する必要がある

任意整理を自分で行うには、債権者から取引履歴を取り寄せる必要があります。

取引履歴とは「いついくら借金して、いついくら返済したか」が記録された債務整理をするうえで欠かせない書類です。

任意整理をする際も必須の書類ですが、借入業者によっては個人からの交渉には応じないケースもあります。

また、取引履歴をもらえたとしても、借金の残高を正確に計算して利息を減額するのは難易度が高いです。

正しい知識と計算スキルがなければ、悪条件になってしまう可能性もあるので、任意整理を自分で行うかは決める際は熟考するようにしましょう。

任意整理の費用相場

任意整理をする際は、どの方法を選ぶかによってかかる費用が大きく異なります。

自分で手続きを進めればコストを大幅に抑えられますが、弁護士に依頼する場合は専門家のサポートを受けられる代わりに一定の費用が発生するでしょう。

ここでは、それぞれの費用相場について紹介します。

● 任意整理を自分でする場合の費用相場
● 任意整理を弁護士へ依頼する場合の費用相場

任意整理を自分でする場合の費用相場

自分で任意整理する場合にかかる費用は、郵送代や印紙代のみで済むのが一般的です。

具体的には、1通あたりの郵送費が数百円、和解書に貼付する印紙代も数千円程度で済むでしょう。

例えば、借入額が100万円を超える場合でも、印紙代は2,000円程度です。

任意整理を弁護士へ依頼する場合の費用相場

任意整理を弁護士に依頼する際の費用相場の内訳は以下のとおりです。

費用項目 金額目安 備考
着手金 1社あたり
2~5万円程度
依頼時に発生する費用
報酬金
(和解後)
1社あたり
2万円前後
和解成立後に支払う報酬
減額報酬 減額分の10%程度 例:総額50万円減額で10~15万円程度発生
過払い金報酬 回収額の20~25%程度 過払い金が発生した場合に適用され、さらに訴訟かどうかで金額が変わることが多い

例えば1社に対して任意整理を行い、総額で50万円の減額が成功した場合、合計で14万円から22万円程度が費用の目安です。

加えて過払い金が発生していれば、回収額の20%程度の報酬が必要になるケースもあるでしょう。

弁護士費用は高額になりやすいものの、専門家の交渉力によって有利な条件を引き出せる可能性が高い点や、取り立ての停止などのメリットも得られます。

借入額によっても異なりますが、専門家へ依頼した方が債権者と交渉しやすく、債務者にとってよい結果になりやすいと言えるでしょう。

債務整理を依頼できる事務所

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【東京ロータス法律事務所】…任意整理1社あたりの金額/報酬金22,000円(1社あたり)/減額報酬11%/過払い金報酬は回収額の22%/1件につき諸費用5,000円/和解金の支払いを代行でする場合の送金管理手数料 1件¥1,100/訴訟対応の場合、別途着手金1件¥33,000
【アース法律事務所】…ただし、残債務のない債権の調査、過払い請求は着手金無料/解決報酬金1社あたり22,000円/減額報酬金として、減額した金額の11%相当額

任意整理を自分でする手続きの流れ

任意整理を自分でする際の手続きの流れについて紹介します。

● 債権者に取引履歴を開示請求する
● 引き直し計算を行う
● 債権者と和解案を交渉する
● 和解書を作成して返済する

債権者に取引履歴を開示請求する

まずはじめに、現在借り入れしている貸金業者に対して、取引履歴の開示請求を行います。

開示請求は多くの業者で書面を通じて行いますが、公式サイトやローンカードに記載された問い合わせ番号を通じて方法を確認するのも有効です。

貸金業法第19条の2に基づき、貸金業者は開示請求を拒否できません。請求から取引履歴が届くまでの期間は、一般的に1週間〜1ヶ月程度です。

(帳簿の備付け)
第十九条 貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(帳簿の閲覧)
第十九条の二 債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。
出典:貸金業法

引き直し計算を行う

取引履歴を入手したら、次に引き直し計算を行います。

引き直し計算は、利息制限法に基づいた正しい利率(年15〜20%)で再計算し、過払い金が発生しているかどうかを確認する作業です。

過去にグレーゾーン金利で借り入れをしていた場合、払いすぎた利息が過払い金として返還請求できる可能性があります。

引き直し計算は自力でも可能ですが、法律事務所が提供している無料の計算ツールを活用すると便利です。

もし過払い金が発生していた場合は「過払い金返還請求」の手続きに進む必要があります。

ただし、2010年以降の借入については過払い金が発生していないため、借入時期を確認するようにしましょう。

債権者と和解案を交渉する

引き直し計算で正確な残債が確定したら、債権者と和解交渉に入ります。

交渉では、将来利息のカットや返済期間の延長(36〜60回払い)を提案して、無理のない返済計画を作成しましょう。

和解案には以下の内容を盛り込むと債権者にも理解しやすいです。

● 返済総額
● 返済期間
● 月々の返済額

例えば、100万円の残債がある場合、3年(36回払い)なら月々約27,777円、5年(60回払い)なら月々約16,666円の支払いになります。

近年は、将来利息の全額カットが難しく、年5%程度の利息がかかるケースもあるため、慎重に交渉するようにしてください。

また交渉内容は必ず双方が理解できるように、書面に記録しておきましょう。

和解書を作成して返済する

交渉が成立したら返済条件を明記した和解書を作成します。

和解書には以下の項目を記載して、双方が署名・捺印も行いましょう。

● 返済総額
● 返済期間
● 月々の返済額
● 振込先の口座情報
● 滞納時の対応(期限の利益喪失条項)
● 遅延損害金の発生条件

一般的に、返済を2回以上滞納すると残額の一括請求が行われるケースが多く、滞納後は遅延損害金が発生します。和解書の内容をしっかり確認して、同意した条件に従ってから返済を始めましょう。

自力で任意整理を行う場合は、上記の手続きを全て自分で管理しなければなりません。

負担が大きいと感じる方は、弁護士や司法書士へ依頼するのがおすすめです。

トラブルを最小限に抑えつつ返済額も抑えられるでしょう。

任意整理を自分で行う方法とデメリットまとめ

任意整理は、自分で手続きできる債務整理の1つです。

自分で任意整理すると費用を抑えられる一方で、債権者との交渉や書類作成といった複雑な作業を自力で行う必要があります。特に、交渉が不利な条件でまとまる可能性や、督促を止められない点はリスクになるでしょう。

任意整理を自分で行うには、安定した収入や返済の見通しが立っているなどの条件をクリアしていなければなりません。また、取引履歴の開示請求から引き直し計算、債権者との交渉、和解書の作成まで一連の流れを正確に進めるスキルが求められます。

自力で任意整理が難しいと感じる方や、交渉に不安がある方は、専門家に依頼すると安心です。

自身の借入状況や資金状況に応じて、最適な方法を選ぶようにしましょう。